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小指 vol. 1 「予測不能の恋」

以前 「恋のはじまり」「ピンキーリング」
という詩を描きました。
その続きです。
詩にしようと試みましたが、出来ませんでした。





「小指」





vol.1 「予測不能の恋」



「終了?」
「うん。完了。」

「お疲れさん。」
コーヒーを差し出す彼。
冷たく苦い液体が、空っぽのおなかに直接しみてゆく。

達成感と疲労感を味わいながら、出来上がった図面を見ていると
背後から彼が、髪を結んでいたゴムをスッと抜いた。


髪を手でときはじめる。
撫でる。

「きれいやな。」



なんで、この人はこういう事ができるんやろう。
彼女でも兄妹でもない私の髪に触れている。

彼はいつもこう。
予測不能の言動や行動で、私を怒らせたり喜ばせたりする。

出会った時もそうだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


面接の日。

人の良さそうな所長と、一級建築士の風変わりな男性と
長髪を後ろで束ねた彼が目の前に座っていた。
あやうく吹き出しそうになるほど、個性的な3人。
特に彼は、建築事務所で働くようには見えなかった。
長く茶色い髪。全てを見抜くような鋭い目。しわ一つないスーツ。
何より私を困惑させたのは、彼の目だった。

ジロジロを通り越して、上から下まで舐めまわすような目線。
すましたり笑顔で受け答えする私を、せせら笑うような目つき。

面接中の笑顔がこわばりそうだった。
ムカムカしてきて、2回ほど睨んだ。

それが彼との出会い。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「明日って何の日か知ってる?」
「誕生日とか言わんとってや。」
彼はまだ髪を撫でている。

「花火、見にいくぞ。明日。」
「淀川?」
「おう。明日は定時に終われるよう頑張れよ。」
「どっかの誰かが仕事を山ほど押しつけへん限り大丈夫。」
そう。
彼は、いつも私にハンパない量の仕事を持ってくるから。

私が花火の誘いを断るなんてあり得ない、とでもいうような
自信満々な態度。

これはいつものこと。

私は、彼の鼻をへし折ってやりたいような衝動と
二人で花火を見に行くという、甘い期待とを 同時に感じていた。


「送っていくわ。」
「ううん。いらん。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


定時の17時まであと2時間。電話が鳴った。
事務の由里さんが受話器をとる。
「所長。後藤係長からお電話です。」

彼・・・所長に何の用事だろう。急な仕事が入ったのかしら。

「久坂くん。」
「はい。」(え?私?)
「阪和の確認申請の書類は揃ってるか?」
「はい。出来上がってます。」
「今からすぐ本社に届けてくれへんか。そのまま直帰していいから。」



ビルを出て、駅の方へ。
ムッとくるぐらい蒸し暑い。
と、私は腕を掴まれて振り向いた。

「よっ。お疲れ。迎えに来たったで。」
「え。今から本社にこれ、届けるんやけど。後藤さん、所長に電話したやんね?」
「お前を呼び出すためにな。毎日9時10時まで働いてんやし。
今日くらい、早退させろや。」
「花火に行く前にご飯でも食べに行く?」
「おう。俺の家でな。」


彼のマンション・・・もちろん初めてだった。
家に行く?・・・本当に今夜 花火を見るんかしら。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


扉を開けると、玄関に、紫の鼻緒の下駄が大小二つ並んでいる。

誰の?彼女の?


初めて家にお邪魔する時って、ドキドキしたりワクワクするけれど
ここは彼の家なので、そのドキドキは相当なものだった。
今、彼が時折するように不躾に見つめられたり、触れられたりすると
きっと私は、いつものように上手く切り返せない、と思った。

クーラーで部屋が冷えている。
余計なモノは何も無い、シンプルでとても清潔な部屋。

ちょっとずつだけど、ドキドキが鎮まってきたみたい。


「俺、シャワー浴びてくるから。好きにしとって。探検してええぞ。」

また!アハハ。シャワーかぁ。
ほんま、予測不能な人。
ここで私のドキドキは完全におさまった。



「私もシャワー浴びたい。」


「そんなこと言うたら、やってまうで。」



まじめな顔で言うと、彼は部屋を出て行った。
私は きっと真っ赤な顔をしている。



探検。してみよう。
バスルームに行くと、彼に声をかけた。
「クローゼット、開けるから。」

彼は頭を洗ってる最中らしく、慌てた様子で何やらわめいてるけど気にしない。

私はベッドを置いてある部屋に行き、クローゼットを開けた。
見た事のあるスーツ、それ以上に見た事のないスーツがびっしり掛けてある。

引き出しを引くと、小さく区切った何十もの仕切りに
下着がキレイにまるめて収納されていた。


「ブ・・・あはは!」
何枚持ってんの?どんだけ几帳面なん??
私はひとり大笑いしていた。

会社ではエラそうに新入社員や私をアゴでつかっているけど
家じゃあ下着フェチ?いや・・・ちょっと違うか。

彼の秘密を握った感じ。



「探検は終わったんか?」
あきらめたような、観念したような顔の彼が立っていた。



濡れた髪
白いTシャツ

とても綺麗だった。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ラブレター」「ユーレイ」「究極」に優しく拍手をして下さった方々へ

拍手をありがとうございます。
もし、よろしければ、お名前をお聞かせ下さいね。
もしかしたら、同じ方なのかなぁ。もしかしたら、知ってる方なのかなぁ。

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この記事へのコメント

プロローグは「神田川風」
進むにつれ「東京LOVEストーリー」
部屋の辺りから再び時代はさかのぼりて
「同棲時代風」

シャワー辺りになりますれば
「ノッティングヒルの恋人」

そして雫を潤い、純白のTシャツを纏うた彼は・・



「キャスパー♪」
(あ、何でやねん・・と)

ちなみに昔、彼女に部屋を捜査された折
「これなに?」と親指と人差し指で摘みし物体は
紛れもなく我がおやつである「変色バナナ」

秒殺でフラれましたねv-406



いやあ、読んでいてドキドキしてしまいました。
成る程、こういう手が有りましたかあ。
面接はありませんが、似たようなケースは
そう言えばあり得ますねえ。
このコメントは管理者の承認待ちです
ののみちゃん・・・素敵ぃe-266e-266
私は完全に誰かさんに置き換えて妄想・・
だって「襲うよ」ってそのまんまなんだもん(笑)
何か、新作ドラマでも見てるかの様な錯覚に陥ったわ。
読みながら、自分がそうされてる気分になってドキドキした~!
この続きもすごく気になるなぁ・・・

男の人に髪を触れられるってほっぺたに触れられるより
気持ちをキュッと掴まれた気分になるかも。
書類を持って会社を出た後のくだり・・ホント素敵e-420
でも彼女ではない・・のかぁ。
彼のペースには嵌らないって自分の中で線引きしつつも、
悔しいけど好きになっちゃうんだろうなぁ。

繊細・・切ない・・でもとても綺麗・・・
今ではきっと素敵な思い出になってるんだよね?
私の幼くて可愛い、初キスの思い出と同じくらいにね~(爆)
壁カジさん。

あん♪カンチとリカ?
彼は色の黒さはカンチ並み
私はリカと同じかたちの鼻です。
めっちゃ頑張って絞りに絞り出したけど
色と鼻くらいしか共通点が無いのが悲しい現実・・・v-406←お約束
色んなストーリーに添ってくださり、楽しいわぁ。
「同棲時代」は知らないので、後でちゃんと調べてみますね。
う~ん。
「神田川風」に2票←歌が好き
「東京LOVEストーリー番外」に2票 ←鈴木保奈美が好き
「ノッティングヒルの恋人もどき」 に5票♪
挿入歌も主人公ふたりはもちろん
それ以上に、愛すべき脇役の友人達・妹が魅力的!
大好き・・・この映画。
ここに、この題名を出してくださり 嬉しいなぁ。

どこが「キャスパー♪」やッッ v-17e-262

アハハ。探検ではなく、捜査やのん。
「変色バナナ」・・・って何?( ̄* ̄; )

聞くのも怖いような。





虹博さん。

虹博さん読んで、ドキドキしてくれたん。
ありがとう!
私も珍しく、書きながら心臓がバクバクしました。

こういう手
それは、詩→短編小説、への変化を言っているのではなくて
口説く「手」のことですね。フッフッフ。

ありがとう。私の羞恥心と緊張がとけました♪





鍵コメさん。

今日も来て下さり、ありがとう。

でも、方法が間違っています。
そんなやり方では、私をへこます事はできませんよ。
むしろ、今のところ、楽しんでいます。
いつか鍵を外して来てくださいね。
楽しみに待っています。





みぃちゃん。

え。素敵?
珍しく恥ずかしさに襲われて、この先は書かないでおこうと
思ってたん。

みぃちゃん、ここで表コメって、すごく意表をついてた。

いや~ん。みぃちゃん、ドキドキしてくれたん。
私も書いててドキドキだった~。
私の小さな日記を『気になる』って・・・
そんなん言うてくれるのん みぃちゃんだけ。ありがとう。
うんうん。髪の毛とか頭って、想像以上に敏感やよね。

『ペースには嵌らないって自分の中で線引きしつつも』
そうやねん。それ。
それやのに、肝心なソコを書き忘れてるなぁ・・・

可愛い、初キスの思い出
アハハ。あれは相当可愛いかった。
あれには、どんなエピソードも負けるねe-420



素敵なストーリーですね。
ゴムを抜いて髪をなでるなんて、彼女に対してでも、出来ないっすよねえ(汗)
確かに、色っぽいしセクシーな感じだよね。
今度やってみようかな?(笑)誰にって?
もちろん、素敵な女性たちに♪複数?(笑)
濡れた髪…
このあとのストーリーが楽しみです!知りたいなあ。わくわくする~♪
で、これは予測可能かも???
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ヒロジョーさん。

素敵なストーリーかどうかは・・・。
ヒロジョーさんのひと言で救われました。
ある理由から、もう続きをエントリーするのは無理だと
書いたものを読んで思っていたもので・・・。
ヒロジョーさんに又読んでもらえたら嬉しいなぁ
って思いました。ありがとう。

ですよね。ゴムを抜いて髪に触れるなんて
思いつかないし出来ないですよね。
アハハ♪やってみるんですか。
成功をお祈りしております。

このあと
楽しみって言ってくださり、勇気が出ました。
わくわくして下さりありがとう!

あ~ん。本当にエントリーできるんやろか。




鍵コメちゃん。

恋を沢山?
アハハ。ないない。
こんだけ詩を描いてたら、そう思うかもしれへんけど
いっぱい被ってるねん。同じ人で何回も詩を描いてるねん。

うん。私も、彼が感じさせてくれたこんなふうなドキドキは
もうないと思うけど。
ふふ。でもお互い、断言するのはヤメとこか♪
この1年で、色んな事があったよね。
人生、何が起こるかわからないって思ったわ。

この物語のラスト2つの詩は、ずっと前に
出来てるのに、なんで途中のエピソードを
詩に出来なかったかというと
詩に入れたいエピソードがありすぎて
まとまらなかった、のが現状かなぁ。
読んでくれてコメも・・・ありがとうね。
ちょっと勇気が出たわ。
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 ののみ

Author: ののみ

日々のこと
過去のこと

今日の私
あの頃の私

ゆっくりと綴っていきます

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