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2009年01月の記事一覧

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黒華火

「私のことが好き?」ってききたかったけれど
返事が怖くて
「私のどこが好き?」って言った。

「俺と似てるから。」


ウソや。


似てへんもん。
全然。


私は前の彼をひきずったまま
あなたとつき合ったりせえへん。





「黒華火」



だけど

私があなたをさらったとしても

きっと あなたはするりと抜けて
悲しそうな顔で 去っていくわね


華火


たとえ
明日 なくなっててもいい

そう思える 恋でした

明日 なくなっていてもおかしくはない

そんな恋でした


むしろ

なぜ
もっともっと早くに
消えてなくなってしまわなかったのか


それでも

なぜ
かたく結んだ手を
ふたりはほどくことができなかったのか



消え入りそうな白月の夜
私は歪んで思いつめました



いっそ
そうなら
よかったのに



それならば

私は
傷ついてでも

あなたを
傷つけてでも

あなたをさらって
白月の空に黒く黒く昇りつめたでしょう

黒く黒く
昇りつめたでしょう










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kaoruちゃんのひと言のおかげで
全く書く気のなかった其の四を書く気になれました。

コメントはもう頂いているので、コメ欄は閉じます。

kaoruちゃん、ありがと~。
おかげで歯抜けな小説にならずに済みました!

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鏡心月 其の四 「 ほのかに揺れる灯り 」

昨日も、一昨日も、その前の夜も

夜空を見上げて何を思うた

月を見上げて

何を思うて
泣いた





「 鏡心月 」




其の四 「 ほのかに揺れる灯り 」




「明日やね。」

「楽しみやなぁ。」


お紋が弾む気持ちを抑えながら小声で言うと
おりょうも笑顔でこたえた。

二人はせわしなく空の鉢や碗を洗い場まで運び
料理やお銚子を再び盆にのせて、廊下を並んで歩いた。

「目いっぱい小洒落て行こや。」
「お紋ちゃんは新調した着物でな。」
「おりょうちゃんはあの簪(かんざし)な。」

二人は顔を合わせて、にぃっと笑うと
廊下を隔てて左右の部屋へと分かれた。

おりょうは今日一日、気持ちがふさぎがちだった。
しかし、お紋とふた言みこと言葉をかわすだけで
沈んでいた心が、少しだけ上向くのを感じた。

お紋は人をついつい笑顔にさせるような
お日様のような娘だ。

ただそばにいるだけで。



お紋ちゃん。

いつも、ありがとお。



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一日の仕事を済ませ衣笠屋を出ていくおりょうの後ろ姿を
そっとお紋が見ていた。


おりょうちゃん。

いつもは急ぎ足で帰って行くのに。
今日はなんや、のろのろやなぁ。

珍しく元気なかったし。
どしたん。

おりょうちゃん。



明日おりょうに訳を尋ねてよいものかと思案しながら
お紋は家路についた。



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おりょうは七之助に会いたかった。


昨夜の全身を射抜いたかのような七之助の眼が怖かったが
それでもやはり会いたかった。

ひと目、顔を見たかった。

昨夜の七之助のひと言に縛られたからこそ
今夜会って、あれは何でもなかったんだと安心したかった。


おりょうは渡すあてのない筆入れを、袖の下に今日も入れていた。



しかし



月読橋の袂のところまで来て、おりょうは愕然とした。




橋の上は真っ暗だった。




いつも優しく出迎えてくれた、ほのかな灯りは無かった。

橋の上に
七之助はいないのだ。





これまでずっと
一日のおわりに

月読橋に
私をみちびくのは

月のあかりだった



あの人に出会い
いつしかそれは

月読橋へと
私を優しくいざなう

ほのかに揺れる灯り

あの人がともす灯りへとかわっていた





おりょうは月を見上げることもできずに
ただ、家へと歩いた。



七之助と出逢ってひと月。

こんな事は初めてだった。





ひとめでもいいから

あの人に

会いたかった。











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拍手してくださってありがとうございます。
どなたでしょうか。

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イルカと泳ごう

昨年12月の中頃?
志村どうぶつえんという番組で
南紀白浜アドベンチャーワールドを特集していた回があり
私はそれを録画予約していた。


そして12月30日。
モモとふたり、ソレを仲良く見ていました。

「モモ。明日ここに行くんやで~~」* ̄ 0  ̄)ノ

「うん。わかってゆで♪」(*⌒ー⌒)


皇帝ペンギンの赤ちゃんや、パンダの双子に可愛い~を連呼してたけど
モモがいちばん目をキラキラさせて見ていたのは
マリンワールドのイルカライブでした。

そこにウェットスーツを着て登場したのがベッキーと嵐の相葉くん。

ベッキーがイルカの口先で足を押してもらい、両手を広げて
スィ~っと鳥のように、水上スキーのように水面を滑ります。

もう、モモの目はキラッキラ

ママッ?!これ、泳がれへんでもできう?」←やる気マンマン

「できるやろ。」←テキトー

「わ~い♪」


そして次は相葉くん。
左右の足をそれぞれのイルカの口先で水中から押してもらい
空中高くへと跳びあがる。

アハハ(*^□^*) めっちゃ面白い~。
失敗しつつも、最後には成功(?)
かなりの高さから顔面で着水しました。

「モモ~♪ママやったら、こっちの方がやりたいわ♪」

「じゃあモモはベッキーちゃんね。ママはこれね。」

「うん。」 (って・・・何がやろ?)



そして夜、明日の旅行に備えて、鞄の用意をすることに・・・。



イヤイヤするもんやから、私はなかなかはかどらへん。

一方、隣りでモモは
ゴロゴロ引っ張るタイプのお気に入りのスティッチの旅行鞄に
着々と服やらおもちゃやらを詰めている様子。

モモは20分くらいで終了。

「できた~

「え。もうできたん?」←まだ4分の1も済んでない人

「見せてみ。」



↓ モモのかばんを開けてみました。(クリックしてみて下さい)

旅行かばん


おお 相変わらず何という几帳面さ!
服はキチキチと長方形にたたんであるし、隙間なく詰めてあるし♪

5才児とは思えないくらい、気色悪いほど几帳面。( ええんか悪いんか・・・ )


しかし私はフと気づいた。
白いにゃんこの左側にあるもの・・・これは・・・

( ̄□ ̄;)!! 水中メガネ!!

ホテルに温水プールがあると思ってるんかしら。
( しかも今回 旅館やし。 )


「モモ~。水中メガネなんかどーすんの。プールなんか無いで?」

「でもぉ、ベッキーちゃんみたいにする時 水中メガネしたいねん。」

∑( ̄口 ̄;)!! 本気やったんッッ?!


「だいじょうぶやで。ママのんも入れてるからな。」

とニコニコ顔で荷物の中身をより分けて見せてくれた。

ママのん?!( ̄* ̄; )



大人の水中メガネ ←ママのん

ず~~~っと前に買った 今では年齢制限ブーのビキニな水着 ←ママのん



(/- - )/
  ・
  ・
  ・
(o _ _ )o


どっから掘り出してきたん。




( ̄* ̄; ) ブッ・・・ワハハハ(*^□^*)

可愛いなぁ


本気でイルカと泳ぐつもりだったんやなぁ。

全く泳がれへんのに。
水に顔を浸けるのも2秒くらいしか出来へんのに。←風呂で練習中♪
人前に出るのが極度に苦手やのに。←ここは母とは似てません。

本気で母に相葉くんがやったアノ空中技をさせる気やったんやなぁ。

考えたらおかしくておかしくて。


今日も楽しい笑顔をありがとう、な12月30日のモモでした。









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鏡心月 其の参 「 藍色の筆入れ 」

昨日も、一昨日も、その前の夜も

夜空を見上げて何を思うた

月を見上げて

何を思うて
泣いた





「 鏡心月 」




其の参 「 藍色の筆入れ 」




唇に紅を薄くひいたおりょうは、小さな手帛紗を見つめた。


ちりめんの手ふくさには

藍色の筆入れが入っている。



ちゃんとあの人に渡せるやろか。



そう思っただけで急に胸がどきどきし始めた。

おりょうは傘を大事そうに胸に抱き、絹笠屋を後にした。



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月読橋の上に優しい灯がひとつ。



まるで私を出迎えてくれるかのよう。

今夜も七之助さんが橋の上にいてくれた。
これだけで、もう
心にじんわりと嬉しい。


「こんばんは。」
「や。こんばんは。」

「傘、ほんまに助かりました。」
「・・・いや・・・。」
「ずいぶん濡れてしもたでしょう?」
「いえ・・・。」





今夜は七之助さん、無口や。
気のせい?


そうや。筆入れを渡そう。

おりょうは袖の中に入れていた手ふくさを取り出そうとした。



「紅を塗ってるの?」



「え。」

気づいてくれたことが嬉しいのと
そして、恥ずかしくくすぐったい気持ちで
おりょうは七之助を見上げた

と、その時






「そういうの、あんまり好きじゃないな。」





声が
出えへん。





おりょうの顔がみるみる真っ赤になった。

何か言わなければと焦るほど

舌が
身体が

固まって

声が出なかった。



おりょうは

袖の下、ふくさを掴んでいた手を

放した。



あとは、もう
自分が何を話して、どう別れたのか
よくわからなかった。

「傘、破れた穴を貼ってくれたのかい?嬉しいなぁ。」
と七之助が言った事だけはわかった。



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恥ずかしい。



「そういうの、あんまり好きじゃないな。」

さきほどの七之助の声が身体じゅうを縛りつけるようだった。



おりょうは紅を
唇を指でぬぐった。



恥ずかしい。



賤しい下心を見破られてしまったような気がした。


私の浅ましい心。



それを 一番知られたくない七之助さんに見られたやなんて。





後ろ手に戸口を閉めた時

ちりめんの手ふくさが

袖から



ポトリと落ちた。










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人魚の果て

「 人魚の果て 」



うすく
尾ひれを剥ぎ取り
細くて長い脚をもらいました

焼けて
切りきざむ媚薬
優しいココロと交換しました


こんな愚かしい私に
誰が
ふりむくことでしょう

ガラスでこさえた花束を
胸の奥
そっと抱いているあの人

私がきつく抱き締めたならきっと
こなごなに砕けて
あの人は泡になってしまうでしょう


私は見ているだけ
微笑むあの人の瞳
切望すれば消えてしまう


赤い涙を流したとて
恋心が伝わる事は
決して決してないでしょう


媚薬
優しいこころと交換した
報い
人魚のなれの果てさらし

眼を見開いて
ただ見つめていろというの

涙も流せずに
ただ耐えてゆけというの



泡にもなれず
ただ見ているだけなんて



いっそのこと

夜明けと共に消えるのが

月ではなくて

私だったならよかったのに



いっそのこと



夜明けと共に



泡になるのが



私だったなら

よかったのに










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

拍手して下さってありがとうございます。すごく嬉しかった。
どんな方が拍手してくださったんでしょうか。

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雪の涙

「 雪の涙 」



雪が降ってきて

見上げれば 目尻に 雪


ポロリ

冷たい雪につられたのか
もともと流れていたのか

自分が情けなくて
情けない自分を捨てられなくて

雪の涙










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拍手して下さってありがとう。嬉しかったです。

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鏡心月 其の弐 「 紅 」

昨日も、一昨日も、その前の夜も

夜空を見上げて何を思うた

月を見上げて

何を思うて
泣いた





「 鏡心月 」




其の弐 「 紅 」




長屋に帰り、髪を手ぬぐいで拭いたおりょう。
それでもまだ胸の高鳴りはおさまらない。



一瞬

私の手が

七之助さんの手に包まれた。



傘を私に持たせようとした七之助さん。
雨に濡れながら私を見送ってくれた七之助さん。

ゆっくりと丁寧に押しあてるようにして傘を拭く。



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おりょうはその夜
夜具に入ってもまだ親身にしてくれた七之助のことを想っていた。
もういい加減寝なくては、と思ったその時。


そや!

お礼・・・。
何かお礼がしたい。

私に何ができるやろ。


いてもたってもいられなくなり
灯をともし、裁縫箱と裁ち残りの端切れを出す。



なにを?



筆入れは?
筆入れをこさえよう。



その思いつきは、おりょうの心を躍らせた。



七之助さんのことを思いながら

布を裁ち

ひと針ひと針縫う



なんて幸せなひとときやろ。



なんて満ち足りた時間やろ。



もうひと頑張り。

そして

あともう少し。




できた!




こんなもの、迷惑に思うやろか?

小さな不安が胸をかすめる。



ううん。
七之助さんはきっと
ありがとうって笑うてくれる。



外は明るくなり始めていたが、ちっとも眠くない。

もうじき、明け六つ時。
朝御飯を炊く音や匂いが長屋のあちらこちらから感じられる。

おりょうは幸せだった。





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一日の仕事の終わり。

魔が差すとは、こんな時を言うのやろか。


私は七之助さんに少しでも良く思われたくて

いつもはつけない

薄く紅い


紅をさした。










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鏡心月 其の壱 「 月読橋 」

昨日も、一昨日も、その前の夜も

夜空を見上げて何を思うた

月を見上げて

何を思うて
泣いた





「 鏡心月 」




其の壱 「 月読橋 」




おりょうは月を見ていた。

絹笠屋での勤め帰りに、この月読橋で
ひとり月を見上げるのがいつからかの習慣になっている。



まんまるい月

細く消えいりそうな月

赤い月を見たこともあった。



おりょうは、その日その日の出来事や感情に
月の姿を重ね合わせ夜空を見上げる。





「月が好きなんですね。」





「月が好きなんですね。」





私?

私に問うているん?
声のする方を見ると、見知らぬ男がこちらを見ている。
今夜は丸くて大きな月が笑っている。
月明かりが
近寄ってきた男のなんとも優しげな顔を照らした。



「昨日もこの橋で月を見上げていましたね。」

「・・・。」

「おとといも月を見ていた。」

「・・・。」

「僕はあなたばかり見ていた。」

「・・・。」



口説いているんやろか。
けったいな人。



「月が好きかどうか考えたことありません。
ただ、きれいやなぁ、不思議やなぁ、って思て見ているだけです。」

男はにっこりと笑顔で深くうなづいた。



いきなり話しかけてきて「あなたばかり見ていた」なんて
ちょっと調子が良すぎる。

おりょうは小さく会釈をして月読橋を渡った。




何?
今のあの人。
でも・・・
なんて優しげな笑顔やろ。
誰?
昨日も、一昨日もって言っていた。

私は昨日、一昨日どんな顔で夜空を見上げていた?



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来た!

七之助は思わず声に出しそうになったほど嬉しかった。
女が月読橋を渡ってきたのだ。

予想通り橋の中央で立ち止まり、夜空を見上げる。



昨日もそうだった。

一昨日もそうだった。

初めて見た日もそうだった。



どんな顔なのかは暗くてよく見えないが
おぼろげに浮かび上がる姿から
華奢な若い女だと推測できた。





「月が好きなんですね。」

七之助は思い切って声をかけてみるが
女は気がつかないのか熱心に月を見たままだ。





めげずにもう一度、声をかける。

「月が好きなんですね。」





七之助が女に近寄ると
月明かりが女の白い肌を照らし出した。

見知らぬ者に突然に声をかけられて
少し驚いたような戸惑うようなしぐさが可愛らしい。
年は二十くらいか。

切れ長の瞳がきれいな女だった。

化粧っけのなさがますます淋しげな表情に憂いを帯びせている。



「昨日もこの橋で月を見上げていましたね。」

「・・・。」

「おとといも月を見ていた。」

「・・・。」

「僕はあなたばかり見ていた。」

「・・・。」



うぶな人。
何も言えずに困っているのかな。



「月が好きかどうか考えたことありません。
ただ、きれいやなぁ、不思議やなぁ、って思て見ているだけです。」

七之助はにっこりと笑顔でうなづいた。



なんて耳に心地良い声やろ。

七之助が聞き惚れている間に、女は会釈をして去った。




昨日も、一昨日も、その前の夜もこの橋で見かけたあの娘。

夜空を見上げて何を思うた?

月明かりに照らし出された女の姿は
想像以上に可憐だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



翌日、おりょうは絹笠屋の勤めが休みの日だった。
おりょうは月の出る頃になると考えずにはいられなかった。

「あの人は今夜もあの橋に来るやろか。」



そして

明後日も

月読橋に来るやろか。



「月が好きなんですね。」と問うたあの人。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



おりょうは今夜の帰り道のことばかり考えてしまう自分に苦笑した。
せっせせっせと料理を運んで、酒をつけて、きびきび働いても
気がつけば、月読橋のことばかり思い浮かべてしまう。

ううん。
また会えるとは限らへんのやし。

ただの通りすがり。
そう。通りすがりの人やねんから。

おりょうは我知らずのうちに
今夜会えなかった時に落胆してしまう事を恐れてさえいた。
だからあの男は通りすがりの人なのだと
何回も何回も自分自身に言い聞かせた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



一日の仕事を終え、店を出たおりょうは早足で橋へと向かった。



月読橋の上に行灯がひとつ揺れている。



あの人や。



おりょうの顔がぱっと輝いた。



おりょうが橋をのぼって行くと、七之助が一歩近寄った。
「こんばんは。
私は昨夜もここへ来たんです。」

「私は勤めが休みだったもので。」

「明日もここへ来ます。」

「私も今時分ここを通ります。」

また小さく会釈して、おりょうは月読橋を渡った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



翌日も翌々日も、そしてその次の日も、そのまた次の日も
二人は橋の上で少しずつ話を交わした。

七之助というこの若者は物書きで
行き詰まるとこの橋へ来るのだという。

身なりがきっちりとしているだけでなく
話し方や物腰が優しく爽やかな七之助。

おりょうは前の日よりも更に七之助にまたひとつ惹かれていった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ある夜、月は出なかった。
おまけに店を出て六万寺町に入ったあたりから小雨が降りはじめた。

おりょうは雨に濡れることよりも
七之助が雨のせいで帰ってしまうことを心配した。


お願いやからこれ以上降らんとって。


祈るようにして、心の中でつぶやきながらおりょうは走った。


しかし七之助は帰ってはいなかった。
「大急ぎで傘を取りに一度戻ったんです。」
と、傘を差し出した。

「そりゃあもう、大慌てで。
おりょうさんとすれ違って会えなかったらいけないから。」

優しく満足げな笑顔がおりょうの心にしんわりと喜びを満たす。

「ああ。こんなに濡れてしまって。」

ふいに七之助に手ぬぐいでおでこをそっと拭かれて
おりょうはどぎまぎした。

「早く帰って乾かしな。風邪をひいてしまう。」
一瞬、傘を握らせようとする七之助の大きな手が
おりょうの細い手をすっぽりと包んだ。

「ありがとう。七之助さん。」

やっとのことで礼を言った。
声が震えているのではないかと思うほど
おりょうの心はどきどきと高鳴った。










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氷の恋

「 氷の恋 」





砕けてしまえ 私の恋よ

通わないなら 忘れてしまえ
届かないなら 消えてしまえ

誰も知らぬなら 
なかったことと 同じ




千切れてしまえ 氷の恋よ

会えないのなら 流れてしまえ
伝わらないなら ほどけてしまえ

愛されないなら
夢をみていたのと 同じ


朽ちてしまえ
散ってしまえ

私の

恋心










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落胆

自分勝手な予想・・・
いつしか期待してしまっていて

その期待と現実が違っていただけの事なんだけど







「 落胆 」



鳥が

飛びたつように


それは
まるで
鳥が
飛びたつようでした


見ていただけの私


身じろぎもできずに

ただただひたすらに


不思議と不安はなくて

ひっそりとした静けさと

空虚な世界の存在を感じて


ただ見上げていたのでした


何かが無くなっただけです










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つきのみち

忘れたはずの恋

おさえてもおさえても溢れ出る愛の脈と
もう自分ではどうすることもできない恋心

自らの業に
潰されぬよう、壊れぬよう

恋の道に永遠にさまよわぬよう






「 つきのみち 」





あなたの声のままに

私はふりむき

歩みはじめる



二人の夢

忘れた恋



あなたがそよぐ優しい風花びらの
ひとひらひとひらが

私の尖った身体を
桜色へと染めかえしますように



あなたに結ぶ私の恋

叶う

叶わない

言える

言えない

私の恋は炎の赤い花



思い通りにならないもどかしさ
胸にひた隠して

あなたの吐息と
かすかに感じる温もりをたよりに



この月夜をまよわずに

あの人までの道のりを

どうか辿りつけますよう


あふれそうな愛の脈と

吹きつのる恋心に惑い

この暗い森に迷わぬよう



そして

月が消えるころ

あの人が

優しい瞳で

出迎えてくれますように










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銀炎星

炎星

夢は逆夢

あたしの恋は炎星






「銀炎星」





お銀

通称「ユーレイの銀」

黒く光りうねる髪を持つ。
美人ではないがマニアックな人やお年寄りになぜかもてる。
欠点は、癇癪もちで短気。酒と色事に弱い。
長所はない。

特技は、幽霊のように姿形をぼかし、まやかすこと。
走らせたら男の誰よりも速い。




お蝶

通称「怪力の蝶」

麗な見目姿。その性格から醸し出る、凛とたたずむ空気感。
誰もが振り返る純情可憐な美貌の持ち主。
欠点は、病的に人見知り。

特技は、華奢な身体から憤怒のごとく湧き起こる怪力。
記憶力がハンパない。




お市

通称「第六感の市」

愛くるしくて知る人からは誰からも可愛がられる存在。
万人に心優しく、周りを笑いで満たす。
欠点は、運動神経ゼロで大事な時に限って大失敗すること。
泣き虫なところ。

特技は、どの方向から敵がやって来るのか、どちらの器の水が毒なのか
ピンと張り詰めた空気の中での第六感は的中率10割。

本名、市蔵。




火侍郎

通称「はがねの火侍(カジ)」

弱きものに優しく誰からも好かれるが
彼の内側には何ぴとたりとも入れない。
鋼のような肉体とは裏腹に、手先が優れて器用で
櫛・簪飾り・人形・舞台装置まで何でも作ることができる。

特技は、壁を横走りして登れること。水の中で潜水して10分以上もつ。
お蝶に「怪力」の術を伝授した。




夜十助 (やそすけ)

通称「風の夜十助」

無口でぶっきらぼうで市以外とは誰ともなかなか打ち解けない。
端整な顔立ちで「瑠璃座」の花形であり実力はあるが
人気はイマひとつ。その愛想の無さゆえんか。

特技は、弓矢、剣。
射る弓は風のごとく優雅に飛びて的をさし
ふるう剣もまた風のごとく斬りて天狼。






炎星

夢は逆夢

あたしの恋は炎星



そう。

やっと、わかった

あなたに会うために生きてきた。






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 ののみ

Author: ののみ

日々のこと
過去のこと

今日の私
あの頃の私

ゆっくりと綴っていきます

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