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小説「初恋」の記事一覧

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「 初恋 」 第一話 「 出逢い 」

大晦日。

旅館にいました。
見るともなく、紅白を流しっぱなしにしていると・・・

突然
「はいけ~♪このてがみぃ~♪」
とモモが口ずさみ始めました。
アンジェラ・アキの歌に合わせて。

モモは下を向いてパズルをしながらです。

私達は耳をすませて
モモの歌に聞きいりました。

字を読めないモモは字幕を見るわけでもなく
パズルをしたまま最後まで全部歌いました。

モモがこの歌を歌えるなんて知らなかったので
驚いたんやけど

驚いたと同時に
なんやめっちゃなんともいえん気持ちに・・・。


十五にはまだまだ遠い五つのモモやけど
小さなモモが十五の頃の私に代わって、私に歌ってくれたような気に。


モモが甘ったるく舌ったらずな声で歌う
『苦くて甘い 今を生きている』
のところが、(*⌒ー⌒)すごーくくすぐったかったわ~♪





私は十五の私へではなく、十五の彼に伝えたいなぁ。

To be continued↓





キレイ。
人の汗をきれいだと思ったのは生まれて初めてだった。

あなたが私を
みつけてくれてよかった。






「 初恋 」 第一話 「 出逢い 」





く・・・っそぉ。
まだ半分も来てへん。

このボケちゃりんこッッ!!!

捨てて帰ったろかしら。


あ~ん。自転車屋さんなんか、どこにもあらへんしなぁ。
お金も持ってないし。とにかく自転車をおして帰るしかない。
家までの道のりを考えると気が重い。
所要時間は自転車で約40分。

学校を出て10分も走らないうちにパンクした。

大きな国道沿いの舗道は人通りがほとんど無く、いつもはかっ飛ばして走る道。
歩いて帰ると何分かかるやろ。
私はひっきりなしに行き過ぎる車を恨めしく見ながら歩いた。

あ~あ。
・・・。
歌でも歌おー。



拝啓、
この手紙読んでいるあなたは どこでなにをしているのだろう
十五の僕には誰にも話せない 悩みの種があるのです

未来の自分に宛てて書く手紙なら
きっと素直に打ち明けられるだろう

(作詞・作曲・編曲:アンジェラ・アキ) 「手紙 ~拝啓 十五の君へ~ 」より




「ね。」

いい気持ちで歌い終わったところに突然声をかけられて
私はぎょっとして振り向いた。

白いつなぎの仕事着を着た男の子が立っていた。
手には雑巾を握りしめて。

「パンクしたの?」
「うん。」
「直してやるよ。」
彼は返事も聞かずに私からハンドルを取り、自転車をUターンさせて来た道を戻りはじめた。

えっ。なに。
直してもらえるん?
この人どこから現れたん。

「自転車やさんの人ですか?」
「いや、この先のスタンド。」

「びっくりした。声をかけようとしたら急に歌いだすんだもんな。」
「あはは。誰もいないと思って。フルコーラス。」
「歌う前は急に自転車を突き飛ばしたじゃん。あれもびっくりした。」
ええ?!それも見られてたん。あー・・・ハハ。
「もう疲れに疲れて、捨てよかと。」

と、私はここで肝心なことを思い出した。
「あっ。私、今お金持ってないんです。」
「俺、自転車は本業じゃないから。もらうつもりなんてないよ。」
私の方を見もせずに、そっけない言い方。
でも優しい声。

彼はガソリンスタンドに着くと、隅の方へ自転車を停めた。
「ちょっと時間かかるから好きにしてて。」

好きにしててと言われても・・・困るわ。
私は結局、自転車を修理する彼を少しだけ離れて見ていた。

手際よく車輪からタイヤをはずし、そしてチューブを取り出す。

すす色の指と爪。
膝のところが傷んでいる白い作業着。
汗。

私を追いかけてきてくれるのに走ったからかな。
長い前髪のすき間に汗が流れている。

キレイ。

人の汗をきれいだと思ったのは生まれて初めてだった。

サラサラの金髪。
女の子みたいに手入れの行き届いた眉。
奥二重の尖った眼。
長い下まつ毛。
半開きの唇。
少し不機嫌そうに突き出ていて、アヒルのよう。
白い肌。
そして・・・
私は息をのんだ。

やけど?

顎から首にかけて大きくひきつれた痕。
なぜか胸の奥深くがキューっと痛かった。

私はどれほど彼の顔を見ていたやろ。
どれだけ彼の汗が美しいと思たやろ。

このスタンドの店長だと思われる人が近寄ってきた。
「直りそうか?」
「はい。なんとか。」

「よかったなぁ。」
店長は人の良さそうな笑顔で私の方を見た。


「できた。」
「助かりました。」
結局、ほとんど話しもしないまま修理が終わった。
私は彼にもう一度お礼を言い、向こうの方にいる店長さんに会釈してスタンドを出た。

なんてあっけない。

やん。
ほんまになんも話せんかった。
名前、訊いたらよかった。
名前、訊いてほしかったな。

同い年くらいかな。
物静かで、目が・・・何といえばいいのか・・・。
クラスの男子なんかチャラチャラしてて、ずーずーしくて、頼んなくて。
私がパンクしたと聞いたら「天罰だ」とか
「日頃の行いが」とか何とか言って喜ぶにちがいない。
そんな反応がまた楽しいんやけど(笑)

彼はクラスの男子とは全然違う感じがした。
自転車をひいている私をみつけて、追いかけてきてくれた。

彼が直してくれた自転車にのって、家路へ。
少し嬉しい気持ちと、少し後悔の気持ちといっしょに。


見上げた空は
うっすらと蒼い夕空と、オレンジ色の夕陽。
そのまじり合う様が何ともいえず美しかった。



キレイだった。

人の汗をきれいだと思ったのは生まれて初めてだった。











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